実況席のサッカー論


いい本と出合うことができた。
サッカー実況のカリスマ対談ついに実現!という見出しがある。
NHKスポーツ実況アナ(現職は解説主幹)の山本浩氏とフリーアナウンサー倉敷保雄氏、
我らがクラッキーの対談をまとめ上げた本である。


その中の山本浩 名実況集の一説。


  「スコールに洗われたジョホールバルのピッチの上に、フランスへの鍵を開ける一本の鍵が隠されています。
   ラルキンスタジアムのこの芝の上で、日本代表はその鍵を、必ず見つけてくれるはずです」


  「フランスのために、すべての選手が一丸となって、そして、ここにいる選手だけではありません。
   Jリーグで闘っている選手すべてが胸の中に同じユニホームを着ています」


  「このピッチの上、円陣を組んで、今、散っていった日本代表は、私たちにとって
   『彼ら』ではありません。これは私たちそのものです」


97年11月16日、フランスW杯アジア第三代表決定戦 日本対イラン
以上、ジョホールバルで岡野が最後決めてワールドカップの切符を手に入れたゲームの三種のフレーズ。
これだけ読んでも、そんな感じるところはないかもしれない。


この本ではそんな歴史の積み重ねの試合の名実況内容の一部が紹介されていた。
今朝会社に行く途中の電車の中で、その一連のフレーズ集を読んだ。
胸に熱くこみ上げてくるものがあった。
なぜかはよくわからない。
帰りの電車を待つホームで、小さい声を出して朗読をするように読んでみた。
同じだった。


岡田ジャパントルシエジャパン、カズ、中山、中田英とか、そんな個々の存在は飛び越えてしまっている。
歴史の積み重ねととも直面した現実と葛藤、選手、スタッフ、サポーターの思いが、凝縮されて短い言葉になっている。
そして、今それを聞いても陳腐化することなく、その時の思いを蘇られてくれる。


だれに読まれなくとも、自分もそんな言葉が残せるように勉強してみたいと思う。


実況席のサッカー論

実況席のサッカー論